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About

プロトマスとは

きのこ集団Protomassとは、福島県を拠点に活動する演劇集団です

2015年冬、福島県郡山市で結成。2016年5月『出口はどこかにある』(作・演出:髙橋 成知)で旗揚げ。福島県郡山市、福島市を中心に活動。違う県でも演劇したいという思いもありつつ。
日常生活のバグステージみたいなところで好き勝手暮らしている人々を描いた作品を目指して日々惰眠。

代表あいさつ

前に食べたうなぎがこないだ僕に会いに来たンですよ。

友達と2人で僕の家で遊んでたときなンですけど──

遊んでたッて言っても別に何をするわけでもなく、ただ暇を持て余してただけで。でも流石に暇すぎて、何かないかな〜なんて思ってたら、「こんにちは」ッて誰かの挨拶する声が聞こえてきたンですよ。ちょっとビックリして声のした方を見たら、窓の向こう側にうなぎが立ってたンですよ。

叫んじゃったとかそういうのはなかったンですけど、「ヤッバ」とは思いました。幻覚かなッて思って何回も見直しても、窓のとこに子供の背丈くらいのうなぎが立ってるのがはっきり見えるンですよ。ソレがこっちをジーッと見てる。友達の方見たら、腰抜かしてワナワナ震えてて、友達にも見えてるらしいです。

どうしたらいいかわかンなくて身じろぎできないでいたら、そのうなぎ、徐ろに口を開いて「こんにちは」ッてまた挨拶してきたンです。流石に挨拶は違う誰かが隠れてやってるンじゃないかと思ったンですけど、そうじゃなくて、うなぎが普通に喋ってきたから、もう完全に頭真っ白ですよ。

でも、そこから特に何か起こるのでもなく、ただただうなぎと見つめ合うだけの静かな時間が続いて、イヤな緊張感みたいなのが流れてたンですけど、ふと、アレ?ッてなって──

もしかして、このうなぎ、この前食べたうなぎ?ッて思ったンですよ。

事実、この前の日にスーパーでうなぎ買って食べたンですね。だからといってコレが根拠になるわけじゃないけど、一回そういうふうに考えちゃったら、そうとしか思えなくなっちゃって。

で、「コイツ、この前食べたヤツじゃないか」ッて心の中に呟いた瞬間、うなぎがニコッと笑ったンですよ。そういうふうに見えたとかじゃなくて、口をちょっと歪ませて、微かに笑顔を作ったンです。マジかッてめっちゃビビっちゃって、なんで会いに来たンだッて困惑してたら、一個気づいたことがあって──

前に食べたうなぎッて確か中国産のうなぎだったはずなンですよ。でも今目の前にいるうなぎは「こんにちは」ッて日本語で挨拶してきたンですよね。ということは、僕の食べたうなぎは実は中国産じゃなくて、国産のうなぎだったンじゃないか?

思い切って、「もしかしてお前、実は国産だったの?」ッて聞いてみたンです。そしたら、そのうなぎ、すっごく嬉しそうに、さっきよりも口を歪ませて白い歯を見せたンですよ。

僕もすごい嬉しくなってきちゃって。中国産だと思ってたのが実は国産で、しかも国産より安い値段で食べれた。しかもソレをわざわざ僕に教えにきてくれたンですよ。そのうなぎの心遣いに感動してしまいましてね。

それでホクホクしてたら、突然友達が「心通じ合ってンじゃないよ!」ッて叫んだンです。ソレにうなぎがビックリして一目散に逃げていっちゃったンです。

あのうなぎが本当に前に食べたうなぎだったどうか、国産だったかどうかは結局はわからないですけど、僕は信じてあげたいですね、アイツのことを。願わくば、もう一度会って、ちゃんとお礼したいと思ってるンですけど──

代表 髙橋 成知

団体概要

団体名きのこ集団Protomass
代表髙橋 成知
創立2015年12月
活動目的演劇の上演 / 地域文化の活性化
連絡先protomass.kinoco@gmail.com